生地を織ります。私どもでは正絹の白生地は五泉市の織物を使っております。現在でもほかの織物工場では織ることができないものです。 織紋が入っているものは、西陣で織ります。糸を先に染めてから織るものを先染め織物といいます。物としてはさらに上物になります。
先染めのものですと、もう染めることはありません。ここでは後染めという技術で、反物を浸染にて染めていきます。 職人の勘と経験で、タイミングを決めます。長すぎると色が濃くなりますし、釜から出すのが早すぎると薄くなってしまいます。 また、絹は天然素材のため、ロットで染まりかたに違いが出てくるのですが、そこを計算して染めていきます。 京都伝統工芸師の認定を受けています。
染まった生地を、張ります。この工程で、反物に糊付けして張りを持たせ、ピシッとした巻物に戻します。天然素材のため、 白生地の状態できれいな反物に見えても、実際は目が右や左へずれているものです。そのまま仕立ててしまうと、羽二重などでは わかりにくいですが、夏物の絽なんかですと、目が上ったり下がったりしてしまいます。そこで、地直しという作業をします。 手で引っ張ったり伸子針の調子を変えたりなどで、地目を整えていくのです。これも職人の技です。もちろん伝統工芸師です。
正絹物は手縫いで仕立てを行います。その理由は、昔より絹というのは高価な素材なので、また解いて色を変えたりして 仕立て直すということが前提になっているからです。それに、着ていくうちに体に沿って生地が馴染んで伸びてきます。 そのときに縫い目がミシンのように詰まっていると、シワができてしまいます。
和裁の仕立てについてはまた別途紹介させていただきますが、こういった経緯で手縫いで、1寸3針といったゆとりのある 縫い方で仕立てていきます。
定期的な虫干しなど、湿気に気をつけて保管くださいませ。絹は不思議と匂いもつきにくいです。食事などに出られて、 そのあと一般の服と比べていただくと、匂いが少ないことに気がつかれると思います。しかし匂いがする場合は、 多くの場合はカビが考えられます。
クリーニング、お仕立直しや修理など、アフターメンテナンスのご相談も承ります。お気軽にご相談くださいませ。